「星を継ぐもの」という小説に、人間は種族として攻撃的な性質を持っていると説明する科学者が出てくる。
数年前の自分だったら、そんなことはないだろう、と思っていた。
しかし、犬を飼い始め、動物について勉強するに従い、彼らの臆病さを理解するようになってきた。
犬の中にも攻撃的な印象がある個体がいるが、大抵攻撃的な犬というのは、飼い主から虐待されているなど、攻撃的にならざるおえない理由がある。
犬にとって吠える・噛み付くといった攻撃的な行動は相当追い詰められたときの選択肢で、身の危険を感じたり、飢餓状態でもない限りはそのような行動に出ない。
クマなども人を襲う印象があるが、基本的には危険には近づかない性質で、ばったり人と出くわしてしまったり、本当に餌が取れない場合などを除いて人を襲うことはない。
よく登山の際にクマよけの鈴をつけるが、あれは鈴の音で人がここにいることを知らせる役割がある。
鈴を聞いたら逃げることからも、クマは本質的には臆病だということがわかる。
これらのことから、動物は基本的に強いものからは逃げる、危険には近づかないという性質を持っている。
人間の歴史は戦いの歴史だ。
有史以後に戦争のない時代がなかったように、人は常に戦い続ける。
殺し合いにまで行かなくても、日々の生活で人間はその攻撃性を発揮している。
権力への闘争、受験戦争、企業戦士など、攻撃的な言葉が日常的に使われる。
自分より強いものに立ち向かいに、危険を顧みずに行動する。
このような行動ができるのは人間だけだ。
改めて考えると、確かに人間は攻撃的だとわかる。