本の紹介。きたやまようこ著の「イスとイヌの見分け方」
「イスとイヌは同じですか?」と聞かれたらなんと答えるだろうか。
もちろん「全然違う」と答えるだろう。
イヌは動物だが、イスは動物でない。
イヌはご飯を食べるが、イスはご飯を食べない。
違う理由はいくらでも書ける。
答えがあたり前すぎる疑問がタイトルになっているこの本をつい買ってしまった。
子供向けの本でで、タイトル通りにイスとイヌの違いを可愛らしい絵で説明されていた。驚いた事に、両者の違いだけでなく、両者の共通点もたくさん書かれていた。
例えば、
イスもイヌも足が4本ある。
どちらも色々な種類がある。
カタカナで書くと字が似ている。
など。
さて、私たちのほとんどは「イスとイヌが同じか?」と聞かれたら、「違う」と即答するだろう。
しかし、われわれは「違う」と答えたとき、前述したイスとイヌの違いを思いうかべて回答をしているのだろうか?
おそらく、そんなことはないと思う。
なんとなく直感というか先入観で答えているのでないか。
「違う」という答えを言ってから、「これこれが違うから」と理由づけをしていないだろうか?
だって、イスとイヌには前述したように共通点がたくさんあるのだ。
なぜ瞬時に違うと回答してしまったのだろうか?
我々は先入観や固定観念にとらわれる。
「このプロジェクトは上手くいかない」→「だって技術的に難しいから」
「この犬はいうことを聞かない」→「だってそういう犬種だから」
など、結果を決めた後に根拠を考える。
大体の物事には、メリットもデメリットがあるので、後付けの根拠は必ず見つかる(だからこそ間違いに気づかない)。
ただ、冷静に、慎重に考えるとそれは必ずしも正しいとは言えないのではないか。
我々が全く違うと思い込んでいる、イスとイヌとでさえ多くの共通項を持っているのだから。