子犬を飼い始めると、期間を置いて3度のワクチン接種をしなければならない。
なぜ3度もしなければならないのだろうか?
犬は生まれた時には外部の病原体から身を守る抗体を持っていない。
出産直後から2日間に出る母乳には母犬が持っている抗体が含まれている。これを移行抗体という。
生まれてからしばらくはこの移行抗体が子犬の身を守る。
しかし、移行抗体は生後6週あたりで消失してしまう。抗体が消失した直後は最も子犬が病原体に対して弱くなる時期である。
そのため、この時期にワクチンを打てば抗体を持っていないい期間をなくすことができる。しかし、抗体の消失には個体差がある。そのため、移行抗体が消失した瞬間にワクチンを打つのは難しい。
そこで、個体差を考慮して、移行抗体が消失する前に1回目のワクチンを打つのだが、このワクチンは、移行抗体にとっては排除対象なので、多くが無効化される。そのため、2度、3度とワクチンを接種する必要がある。
このように理由を知れば納得して行動することができる。
なんで3回もワクチンを打たなければならないのか、毎年狂犬病予防をしなければならないのは?フィラリアの薬って本当に毎月飲ませなきゃいけないの?
理由を知らないと、不満に感じるし、獣医師が儲けるためにやってるのではないかと勘ぐったりしてしまう。
大人になると、知らない納得いかないことをそのままにしてしまう傾向があるが、理由を調べたりするだけで、きっと良い飼い主になれると思う。