私は自分のパートナーとよく掃除について口論になっていました。パートナーが掃除をしたときに綺麗になっていなかったら、つい「ちゃんとやってよ」と注意をしてしまっていました。しかし、言われた方は「せっかく掃除してあげたのに」と思い反発し、どちらも感情的になり喧嘩になることがよくありました。掃除や家事についてのこの問題は、自分の周りでは9割の人が抱えている、あるあるネタだと感じています。
話はそれますが、私は犬を飼い始めて驚いたことの一つに食糞行動があります。これは生物学的に意味のあることなのですが、人間の感覚だと汚いと感じる人がほとんどだと思います。幸い犬は成犬になると自然とこの行動は無くなりますが食糞だけでなく、自分が汚れるのを気にせず外で遊んだり、ゴミ箱のものを引っ張り出したりと、人間が汚いと感じる行動を彼らは気にしません。
これは人間でも同じで、子供は泥だらけになろうが、不衛生だろうと面白そうなもの、興味のあるものには飛びつきます。しかし、成長するにしたがって「これをしたら怒られる」「落ちているものには雑菌がある」と学んで、汚い行動を取らなくなります。つまり綺麗/汚いという基準は後天的な感覚にすぎず、育った環境により異なります。
このことを念頭におくと、文頭に書いた家庭内掃除問題を冷静に考えることができます。掃除が不十分に感じるというのは、あくまで自分の観点で不十分というだけで、パートナーにとってはそれで「綺麗」なのです。手を抜いるわけではありません。このことが自覚できれば、むやみに注意して喧嘩になる事態を避けれます。
解決方法としは、しっかり自分の基準を伝えることでしょう。「シンクの中にものが残っている状態を片付いたとは認識しない」「テーブルの上は細かい埃も気になるから濡れ布巾で拭いて欲しい」などと、どういう状態が綺麗か相手に伝えます。また、これらの基準が受け入れられなくても怒ってはいけません。綺麗、汚いというのは好き、嫌いに近い感情のようなものなので、そう簡単に変えることはできません。相手の基準も理解しつつ「仕上げは自分がやるから途中まで掃除をしてもらう」などの折衷案が必要になります。
また、綺麗の基準を変えるとは難しいとは書きましたが、不可能ではありません。そもそも人間も両親や身近な人の基準を元に綺麗の基準を決めており、長い時間かけてできあがった感性というだけです。方法は考えなければなりませんが、周りから汚いと言われ続ければ言われた本人の感覚も変わるはずです。
最後になりましたが、犬も人と全く同じことが言えると思います。泥の中に入るなは可哀想ですが、ゴミ箱に頭を突っ込んでいることを別の行動に置換すれば、その行動はしなくなります。それらのしつけの積み重ねで犬も綺麗付きになれるはずです。