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「犬を信頼」するってなんだ?

 

犬に関する本や記事を読んでいると、「犬と信頼関係を結ぶ」ことについて書かれている。

実際「私は犬と信頼関係が結べている」「犬を信頼している」という言葉を実際の飼い主から聞く。

私は、犬と信頼関係なんて結べないと考えている。

断っておくと、私は愛犬が大好きで、毎日散歩に連れて行って、煮野菜とペースト状の根菜が混ざったソフトフードをあげているし、もし犬が病気になって多額の医療費が必要になったとしても躊躇わずに払うだろう。

だが、それでも愛犬を信頼しているわけではない。

 

そもそも人間でさえ信頼できると言い切れるのはごく一部だ(家族くらい?)。

彼らは、長い時間を共に過ごし、色々な行動を一緒にして、その上で信頼できると感じている。

一方で、愛犬は確かに長い時間一緒にいるが、意思疎通ができるわけではないので、心の中で何を考えているのかは分からない。

 

さらに言うと、信頼という言葉で相手に不利益を与えている事例をよく見るため、信頼という言葉に私は良いイメージを持っていない。

「君を信頼しているよ」と言って、仕事を丸投げにする上司や、「子供を信頼している」と言って問題から目を背ける親、

飼い主の場合は「この子は自分から離れないから」とノーリードで散歩をしたり、家の敷地から自由に外に出れる環境に犬を置いていたりする。その結果、愛犬が迷子になったり事故にあったりという事例をよく聞く(保護活動の中で)。

一番悲惨な体験談は、自分の犬を車で轢いてしまったという話だ(動物病院の先生から聞いた話)。車で通勤している飼い主が、バックで車庫に入れる際、いつもは車を避けるはずの愛犬がこの日に限って避けずにそのまま轢いてしまったらしい。飼い主はとても悲しんで後悔していたというので、きっと愛犬を愛していたのだろう。ただ、「あの子は車を避けるはず」という根拠のない信頼を愛犬にしてしまったための悲劇である。

 

私の好きな経営者は「信頼して仕事を任せることは、放任することではない」という旨の話をしている。

犬を愛することと信頼することは違う。

問題が起こす信頼は、信頼という言葉を借りた放任でしかない。犬に信頼なんて必要ない。ただ彼らを愛そう。

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テーマの著者 Anders Norén