動物愛護に関する本を読んでいると、日本のペットビジネスに関する批判がよく見られます。
ペットをショーケースで売る手法が衝動買いを増長する、なるべくよく売れる子犬のうちから親犬と離されることへの批判など色々です。
自分も個人的には、ショーケースにペットを陳列して売る手法はあまり気分良くありませんが、それは個人の感覚の問題なので批判をする理由にはならないと考えています。
例えば、赤色が嫌いだから信号の色を変えろと主張する人に耳をかす人がいるでしょうか。
現在の日本では、犬は商売道具です。もちろん動物愛護法で終生飼育などは義務付けられているので、スーパーに売っている食料品や消耗品とは同じではありませんが。
保護団体や犬猫の飼い主は、どうしてこんなに犬猫の権利が認められないのかと嘆いていますが、それは犬猫の権利について考えたことがない人が多いからです。民主主義国家では法律を制定するには多くの国民がそれに納得する必要がありますが、犬猫の権利に関して深く考える人が少数派ということですね。
いや、そんなことはない。日本人の多くはペットに権利がないことを嘆いていると感じる方もいるでしょう。
しかし、日本では現在犬猫の飼育数は約2,000万頭程度です、国民が1億人として、家庭で一匹のペットを飼っていると仮定しても、犬猫を飼ったことがないという人は、国民の半分以上はいるはずです。それらのペットとの関わりの薄い人は、ほとんど彼らの権利について考えることはないでしょう。
犬猫の飼い主は独自のネットワークを持っており、普段付き合いのある人も犬猫を飼っているケースが多いですので、このように認識の齟齬が生まれます。
先のアメリカ大統領選でも、マスメディアでドナルド・トランプが当選すると予想している人は少なかったですが、マスメディアに意見が汲み取られるような人の中にトランプ支持の少なかっただけだったのです。このような個人の認識とマス(国民)の統計は往往にして齟齬が生まれるものです。
よって、犬猫を商売道具にしたくない、するべきでないと考えている人は、まずこの現状を認識して、犬猫の権利なんてどうでも良い、考えたこともない、という人へアプローチして考えを変えてもらう必要があります。