動物の保護活動に関わっていると、犬をどれだけ家族と認識しているかで発生する家庭問題に遭遇する。
仕事の都合で田舎から都会に引っ越さなければならない。
田舎では大型犬を飼っていたが、都会では大型犬を飼える賃貸物件は高い。
夫婦の片方は無理をしてでも犬を飼う物件を探すことを主張し、もう片方は犬を他人に譲渡することを主張する。
どちらの言い分ももっともであり、仕方のないことでお互いが反目し合うのは忍びない。
人でも似た問題が起こり得る。
知り合いに、年老いた両親の処遇で妻と口論になった人がいた。
自分の両親が年をとってきたので彼らとの同居を望んだ際に、妻が「他人とは一緒に暮らしたくない」と言う旨の発言をして口論になったと言うのだ。
彼にとって、血が繋がっていないとはいえ妻が義両親のことを「他人」と行ったことが気に入らなかったらしい。
この問題は「他人」という言葉が曖昧であることが一因としてあると思う。
「他人」とは、”自分以外の人間”、”親族以外の人”、”関係者外の人”などと様々な意味がある。
知り合いの事例では、妻は決して義両親の世話をすることを反対していた訳ではない。
義両親とはいえ、血の繋がっていない人と同居するのは気を使うから嫌だと言う意味で「他人とは暮らしたくない」と言ってしまったのだ。
妻にとっては、おそらく夫・子供・実の両親以外が他人だが、その認識が夫とずれていたために意図せず夫を怒らせてしまったのだろう。
人によって「他人」と認識する範囲は異なる。
「他人」の基準を揃えず議論をしていると必要以上に感情的な口論になってしまう可能性がある。