世間の常識は、あたなの愛犬のためとは限らない
「大型犬は朝夕1時間ずつ散歩をする」
「飼い主は犬にとってのリーダーにならなければならない」
「愛犬の食事は手作りが一番」
犬の飼い方の常識はたくさんある。
もしこれらの常識を守れていないと、周りから非難されることすらある。
「なんで散歩をしないの?」「叱るときは叱らないと犬のためにならない」
このような言葉を多くの人から投げかけられて、悩む人もいるだろう。
非難している人も、決して他人を傷つけようとしているわけではない。
犬のことを考えているからこそ、強い言葉になってしまうのだろう。
常識というのは、物事の原理を理解しなくても行動できてしまう便利な機能だがデメリットもある。
それは少数派の意見を包括できないことだ。
人間の場合で考えてみよう。
「朝食を抜くのは健康に悪い」
「両親は大切にすべき」
「友達は多い方が良い」
これらは一般的に無条件に良いとされているが、当てはまらない人もいる。
体質的に朝食を抜いた方が良い人もいる。両親から虐待されていた人も両親を大切にすべきだろうか?多くの友達よりも少数の友達と深い関係を気づきたい人もいる。
何も考えずに常識を振りかざすと少数派の人を傷つける可能性がある。
犬の場合も、理想的な状況は犬ごとに違う。
車が怖い犬を無理やり毎日散歩に連れ出すのは、その子のためだろうか?
犬にはリーダーが必要といわれる。確かに大型犬など制御できない犬種は厳しく躾けないと人間社会で生活する上で問題になるかもしれないが、小型犬なら問題行動を起こそうとした時に、抱き上げてしまえば良いだろう。
犬種ごと個体ごとに問題も課題もまちまちだ。
常識とはあくまで多数派に適用できる経験則に過ぎない。
愛犬の理想的な状態を知っているのは飼い主だけである。
たとえ周囲からどう言われようとも、愛犬の理想が分かっていれば惑わされることはない。
愛犬の理想を考える
自分の愛犬の理想の状態と現状のギャップが、「犬のためにできること」だ。
これはビジネスではギャップ分析と呼ばれ、問題解決手法の一つである。
人間というのは何か問題に直面するとその問題を解決しようとする。
しかし、多くの場面で問題を取り違えている人がいる。
例えば、ある書類に必要事項を記入して送付したかったとしよう。
そこで、いつも使っているボールペンをペン立てから取ろうとしたら、そこにボールペンがなかった。
この時、「ボールペンが失くなった」ことを問題として、多く人はボールペン探しに時間をかけるが、それは正しい行動だろうか?
ここで理想と現実を考えてみよう。
今現在の状況を見直すと、理想的な状態というのは「書類に記入して提出すること」だ。
そして、現状は「記入するものがない」ということ。
このギャップを考えるのであれば、「書類に記入できない」ことが問題と言える。
問題を再設定したことで視点が広くなった、ボールペンを探すのではなく、新しいボールペンを出したり、近くのコンビニでボールペンを買ってきても良い。または、そもそもその書類はネットで提出できないか、などの対応策も考えることができる。
問題を取り違えると、適切でない行動をとってしまう可能性がある。
犬の飼い方でも問題を取り違えることがよくある。
例えば、「うちの犬は散歩ができない」と相談を受けたとする。
この時、「散歩ができない」を問題にしてしまうと、抱っこして散歩をさせる、無理やり引っ張って散歩をさせるなどの対応になってしまう。
これらの行動は、確かに多くの犬が散歩をできるようになるだろう。
ただ、待って欲しいその散歩は本当に犬のためだろうか?
犬にとっては怖い外に無理やり歩かされている状況だ。
何度も何度も飼い主に無理やり連れ出され、歩かないと怒られたりもする。
犬はある時諦めて怖いながらも歩き出すだろう。
これが散歩ができるようになった状態だが、これは犬にとって良い状態だろうか?
犬にとって散歩というのは、運動や気分転換に効果がある行動だ。
逆に考えると、運動と気分転換ができれば、無理に散歩をする必要がない。
家の中で引っ張り合いっこやボール投げ、またはノーズワークなどをしても良い。
家でできる遊びというのは、調べればたくさんある。
愛犬の理想は?
さて次は自分の愛犬の理想を考えてみよう。
ちなみにうちの愛犬の理想は以下のようになる。
理想と現実のギャップがわかると、対処方法が見えてくる。
①愛犬と一緒にいる時間を増やしたければ、仕事量を減らしたり、時短勤務などを検討してみよう。
②フードは、まずはネットでいろいろ調べてみよう。
③普段の散歩コースを変えてみよう。
などと具体的な対策がどんどん出てくる。
これらの対策は理想を考えての行動なので、無理やり散歩をさせたりなどといった、間違えた対策にはならない。
理想を知ることで、犬のためにできることが明確になる。