こんにちは。ペット栄養管理士の佐々木と申します。
ペット栄養管理士を2019年に合格し、現在私が経営しているペットホテル &ペットサロンでワンちゃんの食事についてのセミナーなどを開かせてもらっています。
ペットの家族化が進み、食事についてもこだわる飼い主様が多くなってきました。
自分の子のために、または就職のため、ビジネスために「ペット栄養管理士」の資格取得を検討している方もお多いと思います。
「ペット栄養管理士」の資格取得の難易度、そこで得られる知識、また実務でどれくらい役に立つかを書いていきます。
「ペット栄養管理士」とは?
ペット栄養管理士のHPには、
ペット栄養管理士とは・・・
日本ペット栄養学会は、ペットの栄養・健康増進及びペットフードの品質向上等に関する会員相互の知識、技術の向上とその普及を図る事を目的として、1998年6月に設立されて以来、大会・学会誌の発行等広範囲に活動しています。HP
とあります。
簡単に言うとペットの食事に関する知識と技術を普及しましょうと言う資格です。
私も、犬の食事については思うところがあったので、受験を決意しました。
ここページはこれからペット栄養管理士を受けようかな、と考えている人の参考になればと思い書いています。
私は、ただの飼い主で、ペット関係の職業についているわけではありません。そのため、後ほど説明しますが、認定講習会を受けることで受験資格を得て、第39 回認定試験に合格しました。
ペット栄養管理士についてもっと詳しく知りたい人向けに、参考になりそうなHPのリンクを貼っておきます。
ペット栄養管理士認定委員会:試験や講習会を主催している団体のHP。受験方法や試験日程について確認できる。
日本ペット栄養学会:獣医や大学の先生で運営されている学会。ペットの栄養、健康の維持増進、さらにはペットフードの品質向上等々にかかわる研究をしている。ペット栄養管理士認定委員会はこの学会に属している。
難易度①:問題の難易度
私が受験した第39回認定試験では、大半が過去問から出題されました。見たことがない問題は10問あるかないか程度。
過去問は認定講習会などで買えます。
全部で550問くらい問題があり、これをしっかりとやっておけばまず合格できると思います。
そう言う意味では、それほど難易度の高い資格とは言えませんし、全くの素人でも数ヶ月勉強すれば取得できるでしょう。
○どれくらい勉強が必要?
テストの難易度は受験者の事前知識によって異なります。
なので社会人を想定して、学生時代の専門ごとに想定難易度を推定してみました。
個人的な意見なので、参考までに。
対象 | 難易度 | コメント |
獣医学部などで動物に関する学部で勉強したこのある人 | D | そもそも必要か?と思うレベルの人ですね。おそらく内容は大学で習っているものでしょう。ただ、ペット(犬・猫)に特化しているので少し勉強が必要かもしれません。講習会に参加している人達の大半は獣医各部学生でした。 |
理系大学出身で生物、化学、栄養学、病理学などを勉強したことがある。 | C | ペットといえど、犬や猫は哺乳類なので、基本的な体の構造は同じです。なので肝臓の役割や3大栄養素、ビタミンなどの知識がある人は有利です。犬猫と人の違いについて勉強すれば取得できるでしょう。 |
理系大学出身だが、生物、化学、栄養学、病理学などを勉強したことがない。 | B | 私がここに当てはまります。高校の時から、生物と化学は勉強していなかったので、対策講義の内容も満足に理解できません。新たに本を買って基礎知識を勉強しています。 |
それ以外 | A | 講習会では化学式や化学反応についての講義もあり、上記した高校〜大学初等レベルの科学の知識がないとそれなりの勉強が必要と思われます。 |
また、犬や猫を飼った経験がなければ、難易度が全体的に1段階上がると考えてください。飼い主にとっては当たり前の話題でも犬猫を飼っていない人にはよくわからないであろう内容も含まれます。ペットフードにドライタイプとウェットタイプがある、年に1回狂犬病ワクチンを受けなければならない、など飼い主なら当たり前に知っている内容は特に説明がありません。犬猫飼育未経験者はそのあたりで少しつまずくかもしれません。
○合格基準は?
合格基準は合格点は公表されていないようです。
私は、自己採点では75〜85点でした。
相対的に点数をつけているとも思えないので(採点がめんどくさいから)、おそらく70点くらいが合格点でしょう。
○試験方式について
試験方法は、2時間で100問を答えるマークシート方式です。
時間についてはかなり余裕があります。100問と問題数は多いですが,1問に1分以上かけられるので、しっかりと問題を考えることができます。
1問に数十秒しかないTOEICと比べるとかなり余裕を持った時間配分です。
私の場合は、40分程度で全て回答でき、1回しっかりと見直しをしても1時間しか経っていませんでした。
4択のマークシートなので20点は確保されていると考えて良いでしょう。
それ以外にも、日本語が分かれば当てられる問題(「全糞検査は一部の糞だけをとる検査か?」など)や、犬猫に関する一般常識(「猫は肉食か?」など)を問う問題もあり、ペットの飼育経験のある人なら、勉強しなくても半分くらいは取れると思います。
難易度②:コストの難易度
難易度と言う考え方は変かもしれませんが、コストについても考える必要があります。
ペット栄養管理士の受験資格は、
①講習会の全ての教程(A・B・Cの3教程)を修了した者。
②大学において獣医学(獣医学科、獣医保健学科等)、畜産学(応用動物学・ 資源動物学・動物生産学・応用生命科学・応用生物科学・生物機能科学・ 生物資源科学等)、農芸化学(バイオサイエンス学科等)のいずれかの課程 を修めた者。 上記学科(獣医学科を除く)に在籍の大学生は、3年次の10月末に受験資格 を得るものとする。 また、日本ペット栄養学会 認定委員会 が定めた「ペット栄養管理士 特別認定校(専門学校)」にて動物看護師統一認定受験資格を有した者。
③認定定委員会が上記①・②と同等、もしくはそれ以上の資格を有すると認定した者。
④平成14年1月開催の「ペット栄養管理者養成講習会」受講者。
となっており、このページを見ている人は、ほとんど①に該当するのではないかと思います。
つまり受験をする前に講習会を3教程受講する必要があります。
講習会の値段は3回でが合計22,500円、試験の受験料が10,000円、資格取得には学会員登録が必要で、学会員登録に10,000円、年会費が5,000円、また、登録証は3年ごとに更新料が3,000円かかります。ちなみに過去問や参考書を買うともっと掛かりますね。
つまり資格取得までに最低47,500円必要です。講習会に遠方から出席するのであれば、旅費も必要ですし、、、
TOEICなどの試験に比べたら、気軽にちょっと受けてみようという値段ではないと思われます。
難易度③:時間の難易度
時間の難易度と言う言葉は造語ですが、ここでは勉強時間以外でどのくらいの時間が必要かの尺度です。もちろん必要な時間が大きいほど難易度は高いと判断しています。
例えば、TOEICは受験に必要な資格や事前に受けるべき講習はなく時間の難易度は低いと言えます。逆に医師国家試験などは医学部系の大学を卒業しなければならないので、難易度は高いと考えます。
これに基づいて考えると、ペット栄養管理士の時間難易度はそこそこ高いと思います。
前述しましたが、獣医や畜産などの動物に関する大学で勉強していない人は、受験のために3回の講習会に出席しなければなりません。だいたい、1度の講習会が2日行われるので、計6日休日に講義を受けなければなりません。
講習会は土日に行われるので、サラリーマンは休日が潰れますし、土日祝日に勤務がある人は仕事との兼ね合いが難しいところです。
私の場合も、1回講習が仕事と被り行けず、試験が受けられるようになるまで2年近くの時間を要しました。
最後に
ここまであえて触れてきませんでしたが、ペット栄養管理士はコスパはあまりよくありません。コスパとは払ったお金に対してどれくらいのペイが受けられるかということです。
あくまで民間資格ですので、これを持っていたからといってペット関連の職につけるわけでもありません。
すでにペット関連の職に付いているのであれば、既存の経験も生かして「ペットの手作り食教室」などを開いても良いかもしれませんが、資格がお客様の目にどう映るかは定かではありません。
就職に有利になりたい、儲けたいから、という思いで受験しようとするのであればオススメしません。
一方で、認定講習は大学や獣医の先生が行うもので、かなりレベルは高いと感じました。素人の私でも面白く聞け、合格後も定期的にこの講習を受けたいと思いました。
資格に興味がなくても、講習を受けるだけ、勉強するだけでも十分ためになり、愛犬のためになるでしょう。
また、「仕事では使えない」と書きましたが、これは現時点での話で、今後この資格を持った人が活躍していけば、資格の重みを変わってくるでしょう。
2020年4月16日 追記
この記事を書いてから1年近い日時が経ちました。
私は自分のお店を開き、そしてそこでペットの食事についてのセミナーを開催しました。
できたばかりのお店としては珍しく、それなりの人数が集まってくれました。
「ペット栄養管理士」という資格が聞いたのかは定かではありません(感触的には出しても出さなくても集客には関係なかった)。
しかし、聞いているお客様としては「ペットの食事についてきちんと勉強した人だな」という認識は持ってくていたのではないかと思います。
1年経った今でも、この資格の「知名度」はまだそれ程変わってらず、就職などの面で大きくプラスになるとは言い難い状況です。
ただ、ペットの食事に悩んでいる人は多く、学ぶ内容を社会に還元する必要はあると考えております。
自分も含め、理論をしっかり勉強した「ペット栄養管理士」が社会で活躍することで、飼い主様たちが正しいペットの食事についての知識が得られるようになるとともに、本資格の知名度が上がることを望んでいます。
参考書紹介
ここでは勉強の際に必要な基礎知識を得るために自分が使っている参考書を紹介します。
試験勉強自体は、講習会のテキストや過去問で行うので、それ以外の分野の本の紹介です。
栄養学の参考書
マンガでわかる栄養学
ペット栄養管理士はその名の通り、栄養に関する内容が殆どです。
自分は栄養学についての知識が全くありませんでしたので、講習会でも理解できない部分の多くは栄養学に関する内容でした。
犬や猫はあくまで哺乳類なので、基本的な体の構造は人間と同じなので(講義も人間と犬猫の比較で語られる)、この本が役に立ちます。
初心者向けの本をいくつか読んだのですが、この本が一番分かりやすかったです。マンガ(画像)と文章が半々くらいの本ですが、まずマンガの部分だけささっと読んで(1時間くらい)、そのあと文章も含めて再読しました。
最近「マンガでわかる」シリーズはレベルが高いですね。栄養学に関する知識もこの本を読めば、概要は理解できると思います。
とにかく実践
栄養学に知りたい人のほとんどは自分でご飯を作ってみたい(すでに作ったことがある人)だと思います。
栄養学のような理論的な勉強をしつつ実習(愛犬にご飯を作ってみる)することは、勉強することの内容がよく頭に入りとても良いと感じます。
いきなりオリジナルレシピはハードルが高いと思うので、レシピを見て美味しそうなものをそのまま作るのが良いでしょう。
私は下記の参考書を利用しました。特に理由はなく、見た目が美味しそうなものが多かったからですw
ペットフードに関する参考書
ペットフード/ペットマナー検定 公式テキスト
犬猫を飼ったことがない人にオススメの本。
私が犬を買い始めた頃に読んだ本です。
犬猫の飼育に関して注意すべき基本的な事項が乗っています。
ペットフードの保存方法や与え方、犬猫に多い病気の症状などが書かれています。
犬猫を飼ったことがある人なら、ブリーダーさんや獣医の先生から自然と入ってくる情報ではありますが、意外とへーと思う部分もありためになりました。
犬猫を飼ったことがないけど、先を見越してペット栄養管理士を受験したいと言う方は、読んでおくと先生やペット飼育経験者が当たり前に持っている知識を学ぶことができます。